明日も歌う あなたのために


「無理言ってごめん。でも俺、花瑠がいいんだ」



「え……………?」




「花瑠じゃないと、嫌なんだ」



そう素直に伝えると、花瑠は少し頬を赤らめて俯いた。




「花瑠は大事な気持ちに気付かせてくれただろ?俺、たぶん花瑠のおかげで前に進めたんだ」




あの日、あの時。

花瑠がこの気持ちに気づかせてくれたから、今がある。

もし、俺が花菜と約束した未来を迎えられる日が来るのなら、


それは花瑠が居たからあるんだ。



「花瑠にも見届けてほしい。一番近くで」





「た、高梨……………」



花瑠は少し俯いて考えた後、遠慮がちに
頷いてくれた。




「ありがとう!花瑠っ」




思わず花瑠の両手を取ると、花瑠は何故かまた頬を赤らめて、「下手っぴだからね!」と言った。



「大丈夫、俺も左利きだし。俺が教えて下手なヤツなんかいないから」



「なにそれ〜!自信過剰ー」



「ホントのことだ。だから花瑠もすぐ上手くなるよ」

< 149 / 303 >

この作品をシェア

pagetop