明日も歌う あなたのために
「無理言ってごめん。でも俺、花瑠がいいんだ」
「え……………?」
「花瑠じゃないと、嫌なんだ」
そう素直に伝えると、花瑠は少し頬を赤らめて俯いた。
「花瑠は大事な気持ちに気付かせてくれただろ?俺、たぶん花瑠のおかげで前に進めたんだ」
あの日、あの時。
花瑠がこの気持ちに気づかせてくれたから、今がある。
もし、俺が花菜と約束した未来を迎えられる日が来るのなら、
それは花瑠が居たからあるんだ。
「花瑠にも見届けてほしい。一番近くで」
「た、高梨……………」
花瑠は少し俯いて考えた後、遠慮がちに
頷いてくれた。
「ありがとう!花瑠っ」
思わず花瑠の両手を取ると、花瑠は何故かまた頬を赤らめて、「下手っぴだからね!」と言った。
「大丈夫、俺も左利きだし。俺が教えて下手なヤツなんかいないから」
「なにそれ〜!自信過剰ー」
「ホントのことだ。だから花瑠もすぐ上手くなるよ」