明日も歌う あなたのために
だいたい10分くらいの間、
俺たちは夢中になって歌った。
久しぶりだったから、
少し胸がキュッと痛むけれど
その痛みさえも心地よいように感じる。
──冗談抜きで、歌って1種の魔法なんじゃないかって思う。
「………やっぱお前には適わねぇな、
久しぶりでもほんと上手いよな。
俺は音域狭いし、
肺活量しか取り柄がねぇよ」
「そう?俺、龍の声好きだよ」
「俺もお前の声、すっげぇ綺麗だと思うぜ」
お互いに褒めあって、
なんだか照れくさくて
目を見合わせて笑った。
だけど急に、龍はいつになく真剣な顔になる。