明日も歌う あなたのために
その後龍は先にあがっていいと言ってくれたが、結局最後までみっちり練習をして家に帰った。
さすがにヘトヘトだ。
「おにーちゃんおかえりなさい!」
天使のお出迎え。
もう、癒しでしかない。
「洋くんもきてるよ!」
「え、また?」
最近兄ちゃんは由香里さんも連れてよく家に泊まりに来ている。
最近では週2のペースだ。
するとリビングから、由香里さんがひょっこり顔を出す。
「あ、ミナくんおかえりなさーい。………って、顔色悪いよ大丈夫?」
「え、ミナ大丈夫か?」
「ミナ、大丈夫!?」
由香里の言葉に反応して、兄ちゃんと母さんも慌てて玄関にやってきた。
「大丈夫、疲れただけー。お風呂入ってきていい?」
「いいけど………浴槽に長く浸かったら駄目よ?温度もあんまり上げないで…」
「わかってる」
風呂でも時に心臓に悪影響を与えること、俺もなんとなくわかってる。
だけど母さんは俺以上に心配していて、俺が風呂に入ると5分ごとに名前を呼んで無事を確認してくる。
こうゆうのは、俺がいくら「大丈夫」と言ってもなかなかやめてくれるもんじゃない。
だから最近では、何度も名前を呼ばなくても済むように歌を口ずさむようにしていた。