明日も歌う あなたのために



──情けないな、ほんと。



すると不意に、
ノックもなしに病室の扉が開いて
俺は反射的に顔を上げた。


「龍?」


しかしそこに居たのは、
看護師さんだった。

名前は覚えてる、佐原さんだ。



「”龍”って?お友達?」


「あ、ごめんなさい
ノックがなかったからつい
友達かと勘違い………」


「え、やだ私ってばノック忘れてた!」


慌てた表情の後、少しだけ
照れ臭そうに笑った。


「お着替え中だったら
どーするんですかー」


冗談でそう言うと、
佐原さんは首を傾げた。



「どうするって……手伝うわ」


「…はい?」


「だって点滴してる時の
着替えって大変じゃない
場合によっては
一回外したりとかしなくちゃだし」


「……………」


───なんだろ……。
この人は天然なんだろうか。
今そうゆうことを言ってるんじゃないし。

それとも、中学生なんて
男として見られないのか……?


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