明日も歌う あなたのために


教室内だけでなく、他のクラスの生徒もざわざわと集まり始めて、数人が先生を呼びに行くと言って走っていった。




いまだ高梨の様子は落ち着くこともなく、荒い息や咳を繰り返して、顔を歪めるだけ。



「佐原、仰向けにさせないようにそっちから支えてて、なるべく座った状態にしてやって……」



「う、うん分かった………!!」



強い動悸に押されて倒れ込みそうになる高梨を、必死に支えた。


額に大粒の汗を滲ませているのに、震えるその手を握ると、おそろしいほどに冷たい。


何かに縋るように、高梨も私の手を痛いほどに握り返してきた。


< 173 / 303 >

この作品をシェア

pagetop