明日も歌う あなたのために


いや別に、
見て欲しいわけじゃないんだけどさ。


「着替え中じゃなくても、
なんかお取り込み中
かもしれないじゃないですかー」


ちょっぴり変なことを考えた
自分が恥ずかしくて、
誤魔化すみたいに適当に言った。
だけど、返ってきた言葉は
意外なもので。


「歌ってる時とか?」


ピク、と反応してしまう。


「やっぱり、丸聞こえでしたよね
病院なのにすみません」


それを悟られないように、
笑顔を見せた。


「………うん、全部聴こえた」


「すみません、気をつけますから…」


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