明日も歌う あなたのために
急いで植田先生が軽く診察をした後、大丈夫と判断して気管挿管を抜管してくれた。
湊くんはその心地悪さに、えずく様に噎せ返る。
その表情はまだしんどそうで、咳をするのもやっと、と言った感じだった。
私たちに気を遣ってか、植田先生が席を外すと、湊くんは はぁ、とため息を落とした。
「………………最…悪」
荒れた喉から、掠れた声で湊くんは最初にそう呟いた。
「こんな形で……再会したく………なかったなぁ………」
絞り出すように言葉を落として、ぎこちなく微笑んだ。
最初に私の姿をその瞳に移してから、もう目が合わない。
「湊くん……………」
「情けな………花菜さんの顔………見れないや…………」
────そんな悲しい顔……………しないで。