明日も歌う あなたのために

急いで植田先生が軽く診察をした後、大丈夫と判断して気管挿管を抜管してくれた。


湊くんはその心地悪さに、えずく様に噎せ返る。



その表情はまだしんどそうで、咳をするのもやっと、と言った感じだった。



私たちに気を遣ってか、植田先生が席を外すと、湊くんは はぁ、とため息を落とした。








「………………最…悪」







荒れた喉から、掠れた声で湊くんは最初にそう呟いた。





「こんな形で……再会したく………なかったなぁ………」





絞り出すように言葉を落として、ぎこちなく微笑んだ。

最初に私の姿をその瞳に移してから、もう目が合わない。







「湊くん……………」





「情けな………花菜さんの顔………見れないや…………」








────そんな悲しい顔……………しないで。


< 188 / 303 >

この作品をシェア

pagetop