明日も歌う あなたのために
「そんなことない………。湊くんが助かって、本当に良かった」
情けない、なんて言わないで。
あんなに、あんなに頑張ってくれたじゃない。
必死に、生きてくれたじゃない。
「湊くんの心臓が…止まった時。私…本当に怖かった………」
私がそう言うと、湊くんは驚いたように目を見開いて始めて私の目を見た。
「そんなことに………なってたんだ…」
「そうだよ、もう心配したんだから……」
そう言いながら、指先にプローブの付けられた湊くんの手のひらを、ぎゅっと握った。
そんな私を見て、湊くんは気が抜けたように ふは、と力なく笑う。
「じゃあやっぱり………夢じゃなかったんだね………」
「え…………?…」
「声が…………聴こえたよ。花菜さんの声」
─────私の………声?
そうか私、昨日処置室で必死に何度も何度も 湊くん、て…………。