明日も歌う あなたのために







「俺はそんな大切な今を、花菜さんと生きたい」










「────…………っ!」




──────もうどうようもなく流れる涙が、湊くんの細い指を超えてまた頬を伝う。


やがて首筋をゆっくりと伝うその水滴が、くすぐったくて思わず微笑んだ。




──────私の気持ちなんて、最初から一つしかない。







「…………私ね、湊くんの笑顔が好き」





───つい安心させられちゃう、無垢なあの笑顔も。


強がってぎこちない、あの笑顔も。


悪戯っぽくて得意げな、あの笑顔も。







「湊くんのね、歌声が好き」




────まるで彼そのもののような、まっすぐで、透き通るような歌声。


楽しそうに声を弾ませた、あの歌声も。


泣いてしまって震えた、あの歌声も。






「湊くんの…まっすぐな心が好き」







─────絶対に負けない、と誓ったあの日も。


強くなるから、と誓ったあの日も。



君はいつもまっすぐに心をぶつけてくれたよね。


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