明日も歌う あなたのために


「そうです、手術になりますね。もちろん、このまま入院して点滴を続けていただいて、ドナーを待つこともできます」



「…………できるんですか?」




正直、それは無理だと思っていた。


あそこまで酷い発作を起こしたのは初めてだった。しかも、花菜から心臓が止まったとか聞いてさすがに俺もビビッた。


補助人工心臓の話は、前の病院でもされたことがある。


でも、補助人工心臓を取り付けるとバッテリーやコントローラーを常に持ち歩かなくちゃいけなかったり、

身内にまでテストや勉強会のようなものがあって、何かと大変だ。




だから出来れば人工心臓を取り付けたくはなかったのだけれど、

今回のことがあって、”ついに取り付けるしかない時が来たかぁ…”と内心ブルーに思っていた。



だから先生の言葉は意外。退院はできないけれど、まだ人工心臓以外の選択肢があるということだ。


< 198 / 303 >

この作品をシェア

pagetop