明日も歌う あなたのために
佐原さんは軽く会釈をして、
病室を出て行った。
───いや、あの人何しに来たんだよ…。
俺は凄くイライラしてしまっていた。
心地よかったはずの胸の痛みも、
今では本当に気分が悪い。
「───俺こそ……何がしたいんだよ…」
勝手に怒って八つ当たりして、
子供かよ。
──いや、子供なんかより
よっぽどタチ悪いか。
何も考えたくなくて横になって
目を閉じた。
夜中、息苦しくなって目が冷めるまで
俺はずっとそうして逃げていた。