明日も歌う あなたのために




「そうだね。だけどその場合、ステージは2になるから、ドナーの順番は非常に周りにくくなる」






つまり、提供された心臓が俺に適合しても、他に適合した人がいて、その人がステージ1なら、その人が優先される。


それがどうゆうことか、俺だって分かる。

ほとんど俺の番は巡ってこないってことだ。





選択肢は、二つあるようで一つしかないんだ。




「湊……………………」




母さんが、そっと優しく名前を呼んで俺の顔を覗き込んだ。


車椅子の肘掛けに置いた腕が、無意識にぐっと力が込められて震える。

父さんはその手のひらに、自分の手のひらを重ねた。






─────答えなんて、一つしかない。








「受けたいです、手術。少しでも可能性があるならそれに賭けたいです」






正直、悔しかった。


自分の心臓に機械を植え込んで、なんとか生き長らえるなんて、なんだかロボットみたいに作られた存在みたいで情けない。



でも、「あと半年」なんて言われて簡単に受け入れられるわけもなかった。






「しかしVADを入れたからと言って、油断は出来ません。湊くんはかなり心不全症状も衰弱も進んでいますし、浮腫もかなり広がっているので、今も消化器官にも症状が出ているはずです」






───最近の胃の不調は、そうゆうことだったのか。







「ミナ……?そうだったの?」





ここ数週間の吐き気や胃痛については、母さんにも言っていない。


胃だから心臓には関係なし大丈夫、と思い込んでいたし、どうしてもINFINITYでイブのライブに出たかったんだ。

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