明日も歌う あなたのために
【花菜side】



私は……何をしているんだろう。




今日、病棟の廊下に
歌声が響いていた。


本当に綺麗な歌声で、
他の患者さんも耳を澄まして
聴いていた。


声の正体は、湊くんとその友達だった。


幸い、325室の周りの病室でも、
煩いと思っている患者さんは居なくて
むしろ癒されているくらいだった。


「残念だけど止めさせないと」

病棟長が言った。
ナースステーションの皆は
少しがっかりしたような顔をした。

「しょうがないでしょ。
熱上がっちゃうかもしれないし、
やりすぎたら
心臓に負担なのは分かるでしょ?
担当さん止めてきて」


「あっはい!」

私は慌てて止めに行った。



だけど、なかなか
タイミングが見つからず、
病室の前でおどおどしている内に、
歌は止まってしまった。



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