明日も歌う あなたのために
「そん時は俺らにも、演奏させろよ」
ニカッと笑って見せてくれる龍。
なんて良い友達を持ったのだろう、と素直に感動してしまった。
そんな時、ずっと微笑んだまま黙っていた花瑠がハッとしたように急に口を開いた。
「そういえば!さっき言ってた、手術ってなんのこと?!」
─────あ、そうだ……忘れてた。
二人には必ず話そうと思ってたのに、オリジナル曲の話をしていたら、いつの間にかすっかり忘れてしまっていた。
「えっと、補助人工心臓って分かる?」
それから30分くらいの時間をかけて、俺は二人にVAD装着について説明した。
聞き慣れない用語に首を傾げることが多かったけど、分かる何度も聞き直して、必死に理解しようとしてくれた。
そして説明が済むと、二人は同じように明るく笑って、「応援してる!」って言ってくれた。
いつでも頼って、とも言ってくれた。
その帰り、俺は帰って行く2人の背中を見送りながら考えた。
────俺にも、龍や花瑠……それから相沢やクラスメイトのような、
俺を大切にしてくれる人に何か出来ることは無いのかな………?