明日も歌う あなたのために
「じゃ、行こっか」
そう言って高梨は慣れた様子で点滴スタンドをガラガラと引き、壁や手すりに少し頼りながらフラフラと歩き出した。
「た、高梨……ほんとに大丈夫?」
「大丈夫だよ。ちょっとのろまだけど、付き合ってね」
「そんなのは全然いいけど………」
少し心配だけれど、高梨が一緒に探してくれるのが嬉しくて、ゆっくり歩きの高梨のすぐ隣を歩いた。
ナースステーションまでつくと、高梨の姿を見つけたおねーちゃんが駆け寄ってきた。
「湊くん!花瑠も!立ち歩いてて大丈夫なの?」
「うん大丈夫。あれ、花菜………じゃなくて佐原さん、今日夜勤だったの?」
「うん、さっき入ったばっかり」
軽く私の存在を忘れて、楽しそうに会話する二人。
───しかも今、高梨………”花菜”って……。
いつからそんな…………………。