明日も歌う あなたのために


「あ、そうそう佐原さん。どっかで花瑠の定期みなかった?」



いつの間にか増している二人の親密さに私が戸惑っていたら、高梨はようやく本来の目的を思い出してそう切り出した。




「定期?どんな?」



「あ、えっとね……クマのケースに入ってるやつ」



おねーちゃんはナースステーションに居た看護師さん皆に、大きな声で訊いてくれたけど、皆「みていないな」と言っていた。



────どうしよう……………。




「エレベーターか1階で落として、誰か拾ってくれたのかな……?」



「あ、そしたら1階の管理課に届けられてるかもしれないわ。花瑠、場所分かる?」




───管理課…………?

何処のことだかサッパリ分からない。

それに私、結構方向音痴なんだ。


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