明日も歌う あなたのために








「…………………して…」




荒い呼吸の間に、高梨が何か伝えようとする。






「花菜と………仲直りして…」







やっとの思いで私にそう告げて、私の腕をつかむ力が、ぎゅっと強くなる。


だけど、すぐ後を追ってきたおねーちゃんに不安定な身体を支えられると、ふっと私の腕から手を離した。








「なに…………それ」









────高梨は、私を引き留めるために走ったんじゃないの?




私の為に、走ったんじゃないの?




「花菜と仲直りして」?





───あんたは、私の後を追っておきながら、おねーちゃんの為に走ったんだね。
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