明日も歌う あなたのために
「ごめん………花菜」
朝の検温の時、湊くんは悲しそうに笑ってそう言った。
「なんで謝るの…」
「花瑠と、喧嘩になっちゃって」
「───湊くんが悪いんじゃないわ。でも、昨日みたいな無茶はやめて」
昨日、湊くんが花瑠を追って走った時は、本当にハラハラさせられた。
走るだなんて、それもいきなり。
自殺行為と言っても過言じゃないくらい危ないことをしたのだと、ちゃんと理解して欲しい。
「意外と速かったでしょ?俺これでも運動神経は良かったんだよ」
「そうゆう問題じゃないわよ……」
なんだか今日は湊くんもいつもより明るく振る舞う。
気を使わせてしまっているのだと思う。