明日も歌う あなたのために
「───手術の日程が早まったって?」
さっき俺が解いた問題の答え合わせをしながら、龍はそう切り出した。
「なんで知ってんのー」
「お袋から聞いた。お袋は、お前のお袋から聞いた」
───ああ なるほど。
家族ぐるみで親しいから、情報はダダ漏れって訳だ。
「なんでだ?」
「───手術できる体力のあるうちに……やっておかないとってことだと思う……」
────自分でも分かっている。
目が覚めてから徐々に回復するだろうと思っていた体力も、あんまり回復しているように思えない。
日によっては身体を起こしているのも辛い時がある。
病室からはほとんど出ていない。
何日か前に病棟内の自販機に行こうと出歩いたところ、足元がフラついて転倒してしまい、迷惑をかけてしまったからだ。
───このままじゃよくない。