明日も歌う あなたのために

「手術が終わったあと暫くはICUなんだ。ちょっと面会しづらくなる。だからせめてその前に……花瑠と話がしたい」



花菜には「気長に待つ」なんて言っているけれど、本当は時間が解決してくれるような問題じゃないのは分かってる。



ちゃんと会える内に、ちゃんと話し合うべきだ。




「─────………分かった。明日あたり、俺が無理矢理にでも佐原をここに連れてきてやる」



龍は溜息混じりにそう言ってくれた。



「ありがとー!」



「その代わり、無理すんなよ」



「分かってるよ。ほら、勉強再開しよ」




問題は山積み。

だったら一つ一つ片付けていくしかないんだ。

だからまずは勉強。

明日は、花瑠。




「さっきの問題ほとんど合ってたけどこれだけ違う。ここいつもミスってんぞ、癖?」



「えっ……と、どれどれ……」



腕まくりをして気合いを入れ、身体を起こして問題集を覗き込んだ。




その時、








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