明日も歌う あなたのために
「上手くいかへんと思うけどな」
もういちいち彼に反論するのもバカバカしくて黙るが、吐きどころのない苛立ちがノートに綴った数式の筆圧を濃くしていく。
龍もさっきから無意識に貧乏ゆすりをしながら、砕けてしまいそうなほど強く消しゴムを握っている。
「そんな顔すんなや、忠告しにきてやったんやろが」
「────忠告……なんの」
「つまらん期待させて傷つくのはハナちゃんの方やで」
「────どうゆう意味ですか」
「未来の無いヤツに、女作る資格なんかないっちゅうことや」
「──────は!?」
彼の言葉に、バンッと机に手をついて立ち上がり 怒りの声を上げたのは、龍の方。
龍は今にも殴りかかりそうな目つきで、彼を睨みつけた。