明日も歌う あなたのために
「未来がない!?お前それ、ミナが死ぬってことじゃねぇだろうな!?」
「他に何があんねん」
「っ!てめぇ……っ!!」
「───龍、落ち着いて」
「落ち着けるわけねぇだろ!!!」
「───お願い、龍」
今にも彼に掴みかかろうとする龍を、なんとか両腕で制する。
普段なら力で龍に適うはずは無いが、俺が身体を張って止めようとすれば、龍は俺を心配して動きを止めてくれると知っていたから。
───不思議なことに、俺自身はあまり怒りが込み上げてこなかった。
いや、そりゃ普通にムカつくけど。
未来がない、とか。
そんなの分かっているし。だからこそ、そうならないために今頑張ってるんだろ。
「確かに俺の未来は不確かかもしれないけど、花菜は信じて寄り添うって言ってくれた」
花菜が想ってくれている。
信じて、傍に居てくれる。
そのお陰で俺は頑張れているんだ。
だから俺は彼に「お前に未来はない」と言われようと、特に怒りは生まれなかった。
余裕があったからだ、
花菜の気持ちが、いつも俺を支えてくれているから。