明日も歌う あなたのために


花瑠はこくりと首を縦に振る。



控えめに頷くその仕草は、小さかった頃と変わっていない。





花瑠。八つ歳の離れた妹。

どこか抜けているような性格に見えて、実はしっかりと”自分”を持っている。

羨ましいくらい、強い子。
そのくせ人一倍お人好しで。



本心からそんなこと言うはずなかった。





「………私、おねーちゃんが羨ましかったの……だから、高梨に八つ当たりしちゃった……」





「私が羨ましかった?」





「うん……」





花瑠は不意に顔を上げると、ぎこちなく微笑んで見せた。

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