明日も歌う あなたのために


「おねーちゃんは昔から…………優しくって、何でも私に譲ってくれた。でもやっと…誰にも譲れないものが出来たんでしょ?」





いつの間に、彼女はこんなに大人になったのだろう。

いつまでも子供だと思っていたのに、時に私なんかよりよっぽど大人びたような顔をする。



それは多分、彼女が元から持つ、優しさからなんだと思う。




「──まだすぐには高梨のこと忘れられない。でも、自分の気持ちには嘘つきたくないから…」




「うん………」





「もう少しだけ……高梨を好きでいてもいい?」






「ええ……もちろん!」






花瑠、あなたが心から恋をした高梨湊くんはね。

まっすぐで、何もかもに一生懸命で。



きっと私のことも、同じようにまっすぐに愛してくれている。




それを何よりも誇りに思うよ。





だから、

あなたが恋をした彼の笑顔を、絶対に守ってみせるから……。

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