明日も歌う あなたのために




「花瑠……………!!」




「え!?……ちょっ……高梨…………!?」



予想外に開いた扉に驚いている暇もなく、病室から現れた彼に

強く、包み込まれるように

抱き締められた。


息が、止まってしまうかと思った……。






「花瑠……もう会えないかと…………」





そんな私の心情などお構い無しに、
はぁ、と安堵のため息をつく高梨。





「そんな、大袈裟な………」






───たった1週間で、「もう会えない」だなんて。



私は思わず苦笑いを零したけれど、高梨は私を離すどころか、より一層強く抱きしめて言った。







「大袈裟じゃねーよ!俺は、花瑠に会いに行けないんだからな……!」







叫ぶような高梨の言葉に、思わずハッとさせられる。


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