明日も歌う あなたのために
「ごめん高梨……ごめんね」
あんな別れ方して、もしあれが最後だったら?
そう考えたら今でも鳥肌が立つ。
暫くして高梨は、そっと優しく私から腕を離して言った。
「───ううん。良いんだ……俺もごめん。急に抱きついたりして。取り乱した………」
額に手をあてて、自分自身に呆れたようにため息をつく高梨。
前にも見た事がある……余裕のない高梨。
あの時は確か、倒れる前日だった。
「た…高梨、ベッドに戻って」
なんだか怖くなった私がそう促すと、高梨は大人しくベッドに戻り、代わりに私に面会者用の椅子に座るように言った。