明日も歌う あなたのために
「前にもこうやって手握ってくれたよね、花瑠」
「え………覚えてるの!?」
あの時の高梨は意識も朦朧としていたし、後半は意識どころか息もなかったのに。
「うん、なんとなくだけどね。ずっと傍に居てくれたんだよね?ありがとう」
「ううん………だってそりゃあ、心配だったから…」
「うん、だよね。花瑠はそうゆう子だって知ってる。だから気にしてないよ、あの時言われたこと」
「え…………?」
驚いて思わず顔を上げると、そこには高梨の笑顔があった。
魔法みたいに不思議と誰かを安心させてしまう、いつもの優しい笑顔。
「花瑠が俺に何を言いに来たかなんて、分かってるよ」
────あの時………
「死んでも知らないから」なんて言ったこと……誤りに来たって分かってたんだ……。