明日も歌う あなたのために
「湊くん、入るよ〜?」
病室の扉をノックをしてみるが、返事はない。
───寝てる………?
なるべく音を立てないように扉を開いた。
「あ……やっぱり寝てる」
と言っても横になっていた訳ではなくて、ベッドのテーブルに突っ伏して居眠りをしていた。
机の上には授業ノートのコピーと、楽譜のようなものが無造作に置かれている。
「湊くん、風邪ひくよ?」
ポンポンと肩をつついて見るけれど、なかなか起きてくれない。
昨日は色々あったし、疲れているのだろうか。だとしたら、そっと寝かしておいてあげたい。
だからと言ってこんな寝方をして風邪を引いたりしたら一大事だ。
手術前の大事な身体なんだから。