明日も歌う あなたのために



─────あ、そうだ!



いいことを閃いた私は小さくポンっと手を鳴らすと、せっかく綺麗にラッピングしてもらった袋を、湊くんを起こさないように静かに開ける。



中から取り出したのは、淡い赤色のチェック柄のブランケット。

いつくもお店を回って、一番肌に優しい素材のものを選んだ。



それを、気づかれないようにそっと優しく湊くんの肩に掛けた。




ふわりとその小さな背中を包む、クリスマスプレゼント。





「……………ん……」





すると背中に違和感を覚えたのか、小さく唸りながら湊くんがゆっくりと瞼を開いた。




「───あれ………花菜?」




目を擦りながら私の姿をその瞳に捉えると、湊くんは「なんで私服でここにいるんだ?」とでも言っているように首をかしげた。





「花菜、何してんの?」



「ノーノー、私、花菜じゃありませーん」



「────え………?いや、どう見ても花菜じゃん」




寝起きで突然意味の分からないことを言われ、湊くんは怪訝そうに眉を潜めた。

< 296 / 303 >

この作品をシェア

pagetop