明日も歌う あなたのために



「え……………?今日………」



湊くんは予想通り、おおきな目をぱちくりさせた。





「クリスマスイブだよ!!だから私は花菜じゃなくてサンタクロースだよっ」




「サンタ???…あ、じゃあこのブランケットって……!」




「そう!良い子の湊くんへ、サンタからのプレゼント!!」






22にもなる大人がなんて恥ずかしいことをしてるんだろう、と冷静になれば赤面だが、それ以上に目の前の湊くんの方が顔を赤らめていたのだ。





「ほら、身体起こして勉強してる時とか、車椅子で出歩く時とか、あると温かいなぁって………」



「うん、温かい…超うれしい」



小さな子供のように目を輝かせた湊くんを見ると、こっちまでなんだかほっこりと温かくなる。



「ってゆうか…ごめん花菜。俺なんにも用意してないのに………」



「いーよいーよ!入院してるんだから当たり前だし、イブだってことも忘れてたんでしょ?」



「そうだけど………うーん……」




もちろん私は見返りなんて求めてはいないけれど、貰った本人はそれじゃ納得しないようで、一生懸命何か返せないかと悩んでいるようだ。


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