明日も歌う あなたのために
12月の痛いほど冷たい風が、厚いはずのセーターをすり抜けていく。
思っていた以上の寒さに、思わず身震いをした。
「ホワイト・クリスマスじゃないのが不思議なくらいの寒さね……」
「俺は雪降って欲しかったんだけどな〜」
「あら、雪降ってたらお散歩しようなんて言い出さなかったわよ。私」
湊くんにはありったけの防寒着を着せて本当に良かった。
「外の空気吸うの、ほんと久しぶり。なんだかんだ再入院してから1度も外に出られてなかったな。もうすっかり冬じゃん」
「よく考えたら、まだ倒れてから3週間くらいしか経ってないのよね」
「うん。俺らが付き合ってから、ね」
そう言い直して得意げに笑うと、湊くんは唐突に大きく息を吸った。
え、と思った時にはもう、私の耳にはあの透き通るような透明な歌声が届いていた。