明日も歌う あなたのために

分かってはいたけれど、
やっぱり寂しい気持ちにはなる。

湊くんはいつもそうだ。
最近、私に対しては特に。


──それはやっぱり、あの日から。


私が湊くんの歌を聴いたあの日。
あの時、湊くんは私に
「そんな目でみるな」と言ったんだ。


私は、あの時必死だった。

気まずそうに目を逸らすことも、
憐れむように彼を見詰めることも、
彼を傷つけてしまうと分かっていたから。

だから純粋で、飾らない想いで
彼を真っ直ぐに見詰めた。


…だけどそれが、結果的に
どうゆうわけか彼を傷つけてしまった。


それはどうしてだったんだろう。


私の想いが、
彼に伝わらなかったのだろうか。


それとも──────……………。






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