明日も歌う あなたのために
「ずっと………俺が笑顔でいれば………幸せになれると思ったんだ………皆も……自分も」
「───うん」
「作り物でもいいから………幸せなフリがしたかった…………そうしたら皆笑顔でいられる。…………でも、違うんだね………」
いつも同じだった、湊くんの笑顔。
惹き付けられるあの無垢な笑顔は、いつも作り物で、その度に湊くんが傷ついていたとするならば、そんなの意味がない。
「私は湊くんに、本当の笑顔で笑っていて欲しいよ」
「無理だ………だって俺……………歌を手放してしまうから…………っ」
華奢な両肩が、私の胸の中で何度も何度も上下に揺り動いて、不安定な息を漏らす。