明日も歌う あなたのために
「ばかみたいって………思うだろ………?だけど本当なんだ…………本当は……歌がなかったら生きていけない………それだけ……」
────それだけ歌は、湊くんの中で大きな存在なんだ。
もし欠けてしまったらバランスがとれなくなってしまうほどに。
たかが歌じゃないか。それも声を失うわけじゃないのだから、プロにはなれないだけで、今こうして歌うことは出来る。
だけど………大好きな歌を歌う度、苦しくなる心臓。掠れる声。だんだんと歌うことが苦しくなる自分を感じるのが……どれほど辛かっただろうか。
そんな小さな身体で、たった独りで。
どれだけの辛い想いをしてきたのだろう。
誰にも縋ることなく、作り物の笑顔を貼り付けて…ずっと背負い込んでいたんだ。
私はそれを、
「ばかみたいなんて思わない、絶対」
だってそうでしょう?あなたはずっと泣きたいのを我慢して、頑張っていたのだから。