明日も歌う あなたのために
「湊くん?どうしたのボーッとして。昨日はぐっすり眠れてたみたいだけど……」
「えっ、あっはい。おかげさまで……」
───そーいえば…、佐原さんは夜勤だから、あれから眠ってないのか…………。
「ん……湊くん、ちょっとじっとして」
「え?」
眠くならないのかな、なんて考えていたら突然、佐原さんが屈んでぐいっと顔を近づけてきた。
息のかかるほど近い距離。
─────は???!!なに?!
思わずぎゅっと硬く目を瞑ると、
瞼に暖かい佐原さんの指先が触れる。
「あー……やっぱり腫れちゃってる」
そう言って俺の目元をそっと摩った。
その真剣な顔を、なんだか惹き込まれるみたいに見つめてしまった。
佐原さんの指が腫れた瞼に触れて、ヒリヒリと痛みが走る。
「いてっ……」
「あっ、ごめんねっ!」
「いや、大丈夫です…」
「後でなにか冷やすもの持ってくるわね」
「あ………いや大丈夫です…」
佐原さんが来る度にこうなってはどうしようもない。出来ることなら、今はもう少し頭が冷えるまで余計に顔を合わせたくないんだ。
───調子狂う…………なんなんだよ。