明日も歌う あなたのために
恐る恐る硬い瞼を開くと、そこには自分の拳を見詰めながらハッとしたような顔の兄ちゃんが居た。
「───兄ちゃん……?」
「………ミ、ミナ……っ!!」
その焦ったような高い声と同時に、急に襟から手を放され、軽く締め付けられていた首元が解放されて、思わず噎せ返った。
そして今度は両肩をガシッと掴まれる。
「わ、悪い!!大丈夫か!?」
もうその表情は、いつもの兄ちゃんに戻っていた。
俺は”大丈夫”と言いたかったのだけれど、咳が止まらないままで声にならなかった。
仕方が無いからうんうん、と大きく頷いてみせた。
「だ、大丈夫じゃねーよな!?待ってろ今先生呼んで……」
「大………丈夫っ、噎せた……だけ…だ…からっ」
やっと声になった。