明日も歌う あなたのために

兄ちゃんに殴られると思ったのは生まれて初めてで、内心衝撃を受けていたのか、情けないけれどまだ心臓がバクバク早鐘を叩き、息はあがったまんまだった。


兄ちゃんはそんな俺を見て、青ざめた顔でおろおろと病室を動き回る。


「ミナ!ミナ!大丈夫かっ!!!?」



───ちょ……そんな大声出したら本当に看護師さん来ちゃうんだけど………。


兄ちゃんを静かにさせたいのだけれど、上手く声にならないから仕方なく、兄ちゃんの腕をぐっと掴んだ。



「ミナ!!どうした!?」


「兄、ちゃ……っ…いいか…ら……」


「苦しいのか!?ミナ!待ってろ今兄ちゃんが看護師さんを!!それまで頑張れるか!?」




────いや、人の話を聞けよ!!
ってゆうか頑張れるも何も、呼ばなくていいんだってば……。



俺の祈りも虚しく、慌てた様子でノックもせずに看護師さんが病室に飛び込んで来た。

…………しかも……、



「湊くん!!」




───佐原さんだ………。


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