明日も歌う あなたのために
「───兄ちゃんが俺の病気が治るまで式を挙げないって言ってるのは、一種の誓いってゆうか………、治ってほしいってゆう願いを、形にしただけでしょ?」
「───誓い………?」
佐原さんは相変わらず良く分からない、と言うような顔をしているが、兄ちゃんの方はまるで図星だと言っているような顔で俯いてしまった。
──俺だって、馬鹿じゃない。
”湊が治るまで結婚式を挙げない”
それは、兄ちゃんなりの俺へのエールだったんだ。
”お前は必ず治る。それまで結婚式は挙げない、信じて待っている”と、そうゆうエールだったのかもしれない。
「兄ちゃんは俺を信じて待っててくれたのかもしれないけど、もうそれも必要ないから」
「───お前それはどうゆう意味だ…?」
またしても兄ちゃんは怒り出しそうになった。もう本当、短気だ。