明日も歌う あなたのために
「あーっ!おねーちゃん!」
私の姿を見た途端、花瑠は指をさしてそう声を弾ませた。
「やっぱり花瑠だったのね………」
だけど、病室には花瑠だけじゃなくて7人くらいの制服姿の少年少女が居て、皆が私を見てキョトン、としている。
そんな友達に囲まれてベッドの上にいる、湊くんもまた同じ顔をしていた。
「え、待って。佐原さんって佐原のお姉さんだったの?」
「あれ、言わなかっけ?」
おかしいなー、と顎に手をあてる花瑠。
どうやら湊くんはクラスメイトの”佐原”と担当看護師の”佐原さん”が姉妹だということは知らなかったようで。
周りのクラスメイトも、そうなんだーっとザワつく。
「佐原なんて苗字 結構居るし、全然気が付かなかったな……」
「そうでしょう??私たち昔から顔とか全然似てないって言われてるし!」
「美人なとこは似たんじゃない?」
────へっ?、び、美人?!
今なんて言ったのこの子!?
花瑠は「やめてよ照れるー」とか言って笑っているけれど、私はものすごく動揺していた。
だって、湊くんにそんな事言われたことないし…………。そんな風に思っていたなんて……。
────って、本来の目的を忘れる所だった!!