明日も歌う あなたのために
「あ、待って花菜さん!」
────え……………?
私の名前を呼ぶ、湊くんの声に振り返る。
「今…………なんて……?」
ベッドの上の彼と視線が交わると、彼は照れくさそうにパッと目を逸らして言う。
「妹の方の佐原と……混同しちゃうから…………。駄目?可笑しいかな……?」
そう言って遠慮がちに、不安そうな目つきで私を見詰める湊くん。
………そんな顔で見詰められて、”駄目”と言える大人がこの世界の何処に居るだろうか。
いや、そうでなくても。
駄目なわけないじゃない………っ。
「可笑しくない……っ、嬉しい…!」
私が素直な気持ちをそのまま口にすると、湊くんは茹でられたタコようにみるみるうちに頬を赤く染める。