明日も歌う あなたのために
「看護師の佐原さんじゃなくて………、花菜さんに頼み事があるんだけど……」
あの日の屋上で言った時と同じように、
湊くんはひとりの人としての私に言う。
「連絡先、聞いてもいい?」
湊くんのその言葉に、湊くんのクラスメイトたちが、ヒューヒューと冷やかすような声が病室中に響き渡る。
「担当看護師…じゃなくても、友達としてこれからも私に相談とかしてくれるって……………こと?」
おずおずとそう尋ねると、湊くんは赤い顔で頷いた。
「ちょっと……図々しすぎたかな?」
「う、ううん!私すっごい嬉しいよ!」
───他人になんてならないんだね…私たち。
看護師と患者、なんて立場がなくても、踏み出せば繋がっていられるんだ……。