明日も歌う あなたのために


申し送りが終わって、
各患者さんへ挨拶がてら
ボディケアや食事の手伝いをし、
その仕事が一通り終わった頃には
すっかり消灯時間を過ぎていた。


湊くんは……さっき覗いた時は
もうぐっすり眠っていたし、大丈夫だよね。


「ふーっ」

私はつかの間の休憩をとろうと、
ナースステーションのパイプ椅子に
腰を掛けようとした時、
ピッピッピッと規則正しい音が、
廊下の奥から聴こえてきた。


これは患者さんに施した点滴が、
腕の向きや管を身体で踏んでしまったりと
様々な原因でうまく落ちずに
管で止まってしまっていたり、
点滴が終わった合図に、
輸液ポンプやシリンジポンプといった
機械から発せられるアラーム。


「佐原さん、325室点滴落ちてないみたい!」


───ああっ、つかの間の休憩がぁ……っ。………ん?325室って湊くんだ………。


寝返りで管を踏んじゃったのかな?


私はいそいそと325室へと向かった。


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