明日も歌う あなたのために


───龍の心配性は今に始まったことじゃない。特に俺に対しては。


だけどいつもなら、俺が "嫌だ" と反抗すればしつこく押し付けたりしないし、ましてやこんな風に声を荒らげることなんてなかった。




「どうしたんだよ、龍。なんかいつもより包囲固くね?俺は大丈夫だよ?」



「大丈夫じゃねーだろ」



「大丈夫だから退院してきたんだろ?」




「───前もそう言って、大丈夫じゃなかったじゃねーか………」





俯いてボソッと落とした龍の言葉に、思わずハッとする。



──そっか………確か4ヶ月前も……。




俺はその日、朝から「大丈夫大丈夫」と連発しておきながらイキナリ "大丈夫" じゃなくなって、気付いたら病室だった。


当初はどうせまたすぐ退院できるだろうと思っていたのに、今回は全然退院させてもらえなかった上に転院まであって。


龍を驚かせてしまったのだろう。


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