明日も歌う あなたのために
時間で言えば、たったの3分ちょいだったと思う。
だけど、まるで違う世界に行っていたかのような臨場感に、演奏が止まってからも目を閉じて浸った。
久しぶりに本気で歌ったから、さすがに心臓はバクバクだし、息も乱れている。
だけど、そんなことは全くと言って良いほど気にならなかった。
『おにーちゃん まえまでは、
うたってるときはいつも
うれしそうなかお してたのに……』
────岬が言っていた、"いつも"の顔は、きっと今みたいな顔。