空の果てに
中学1年生、春
ピピピ…ピピピ…
静かな一人部屋にアラーム音がこだまする。

「んん…」

ゆっくり起き上がって、うるさいアラームを消す。
寝起きの脳を働かせ、必死に考える。午前7時00分。ということはまだ登校までには時間がー…

「百花、まだー?早くしないとあたし先行くからね!」

下から幼馴染の世那の声がする。

「えー、まだって、まだ7時にもなってな…」
途中ではっとして、口を塞ぐ。

たしか、さっき何時だった?!

とっさにタンスの上にある時計を見た。

7時5分。
さっきからもう5分も経っている。
電車通学であり片道1時間の学校に通っているあたしにとっては、寝坊だ。

即座に窓の外を確認した。
やはり世那は先に行ってしまったらしい。

(やばい、今日始業式なのに!!)

慌てて出る準備をする。
これでも私は支度が早い方だ。

「行って来まーす!」

栄養ゼリーを咥えながら家を出る。
よく漫画とかアニメではパンとか咥えて登校するけど、あたしの場合パンを咥えながら走ると大体耐えられなくなって千切れる。だから、急ぐ朝は必ず栄養ゼリーだ。

駅に着くと、朝ラッシュ時なので既に人でいっぱいだった。

ぎゅうぎゅう押されながらも、頑張って乗った。

始業式に少し遅刻するかもなので、電車から降りたらすぐさま走った。

真面目なわけではないが、初日に遅刻するのは流石にごめんだ。
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