空の果てに
学校に向かう途中、見覚えのある背中を見つけた。

「世那…?」

勢い余って呼んだものの、違う人だったらどうしようとか、怒ったらどうしようとか、不安が頭を過ぎる。
あたしって結構臆病みたい。

「あ、百花だ。意外と早いね」

よかった、世那だ。

「あー、栄養ゼリー咥えて来たからね?あはは」

「…は?」

「へっ?」

想定外の返事に困惑する。
あのおっとりしている世那がは?とか言うのは小1からの付き合いで初めてだ。

「え、はって何よ、びっくりしたぁ〜、世那らしくない」

「…は…んこうに…わるい…だから…」

世那が小さい声で何かを言っていた。
けれど生まれつき耳の悪い私にはよく聴こえなかった。

「へ?ごめん、なんて?」

「栄養ゼリーだからって健康に悪いんだからね?ちゃんとした食事取らないと身体に良くない!」

今度は聞こえやすく叫んだ。
やっと聞こえた。

(相変わらず世那は面倒見良いんだから)

「もう、世那ってば心配症だなあ。今度からは気を付けるよ、ありがとね!」

「…べ、別に、?」

(あ、照れてる)

やっぱり話しながら歩くと結構早く感じる。
話してる間に、いつの間にクラス表の前まで来てた。

世那とは同じクラスだといいなぁ。
元同じ小学校の子、世那しかいないし、
人見知りの私には新しい友達を作るとか、難問だ。

「えっと、峰園百花、峰園百花、峰園百花…」

あった。1組だ。
< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop