多分、姫。
―――パシッ。
奏『ナイスキャッチ。』
嬉しくねーよ。
あまり女の触ったものを触りたくなかったので、キャッチした後直ぐさまペットボトルを下に置いた。
奏『あれ?飲まねーの??』
誰が女が飲んだ後の水なんか飲むか!!!
これは、俺の心の中で言う。
口には決して出さない。
………《女》なんかと喋りたくないから。
俺が喋らないからか、会話が途切れ、静かになった。
聞こえるのは、夜風の音のみ。
空に浮かぶ月はちょうど満月。
そんな満月が池の水面に映り、ゆらゆらと揺れている。
綺麗だ……。
……なんて。
今はそんな暢気に感傷に浸っている場合ではない。
なぜなら今、この素晴らしい空間に一緒にいるのが、俺が最も嫌いとする《女》だから。