多分、姫。



「さ、まだ試合終わってないよ。
まぁ僕のストレート勝ち……ってとこかなっ♪」


いつの間にか手にボールを持つ奏に試合の続きを催促する。


勝つの難しいって思ったけど、案外そんなことなかったなぁ~。


―――ダム、ダム。


無言でドリブルし出す奏。

するとまた無言でいきなり攻めてきた。


ちょっ……と待って。


―――さっきよりスピード上がってる?


さっきよりも格段に動きがよくなっている。



奏『―――ってなんだよ。』


は?


奏『利用するってなんだよ!!!
本物はいらないってなんだよ!!!』


―――キュキュッ。


―――スポッ。



や ら れ た 。


隙をつかれた……。


奏『お前、“誰も本当の自分を見ない”って言ったよな?』


と、転がっているボールを拾いながら言う奏。


奏『それ、ただ単にお前が見せないからじゃねーの?


お前が勝手に壁作って……“見せない”だけに見えるけど。』





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