多分、姫。



『ゴ、ゴホン///
後半戦・男子に出場予定の選手、コートへ!!!』


審判員の声で我に返る。


あ………。


「……ごめん。
5点も差ついて……。
俺が言うのも何だけど……頑張って。」


コートに向かって歩いて行く一期とすれ違い様に前半戦のことを謝る。


―――グイッ。


え。


後ろから腕を引っ張られ、倒れかけたところを誰かの胸の中に着地する。


一期『いいよ、全然大丈夫♪
それにあれは、しょうがないよ。
相手チームの女子ほとんどが、女子バスケ部の人だし。
逆にあんな相手をあいてに1人で5点差に抑えただけでも凄いよ!!!』


そういつもの少し高めの明るい声で、逆に褒める一期。

なんか今の一期に言われると、“慰め”じゃなく、本当に本心でそう思って言ってくれた気がして、嬉しくなった。



一期『それに………』


それに?


そう呟くと俺の肩に顔を乗っける。

ちょうど耳元に口があり、一期の吐息が直に伝わる。


     ・
一期『……俺が、負けるとでも思ってんの?』


「ッ!!!!!!!!」


そう耳元でいつもの少し高めの明るい声とは違う……少し低めの色気たっぷりの声で呟き、何もなかったかのようにコートに向かう。


な……何アイツ。

ただ者じゃねぇ。





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