愛を込めて極北
 「つまりはリブラン社は、社長令嬢である副社長と婚約関係にあるから、献身的に楠木さんを支援してるってことなんですか」


 なんかがっかりしたような気分。


 リブラン社は楠木の活動に共鳴しているからこそ、スポンサーになってくれているんだと信じていた。


 毎年毎年極北地方に通い詰めるには、旅費だけでも莫大な費用がかかる。


 滞在費や食費、万が一遭難した時に備えて、救助のための飛行機も押さえておかなければならないという。


 救助隊依頼となった日には、数百万単位の追加料金が……。


 個人で活動費を稼ぐにも限界がある中、リブラン社が全面的にサポートしてくれているのは大変ありがたかった。


 だけどその裏には、こんな実情があったなんて……。


 「きっかけは、楠木さんがまだ駆け出しの頃、スポンサー探しで企業訪問を繰り返していた時だったらしい。突撃したリブラン社で幸運にも社長と対面できて、しかも同じ大学の先輩後輩だったという共通点があって、そこから付き合いが始まり、社長にもとても気に入られたんだって」


 リブラン社社長に気に入られたのがきっかけで。


 そこからさらに……社長令嬢に見初められたというわけか。


 それにより莫大な資金援助が保障された……。
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